| 二歩 |
アマチュア棋界でも同様かと思いますが、プロの世界においても最も多い反則は二歩です。
歩で合い駒できない場所に駒を利かせるのはとても攻め味が良いので、守る側が歩の存在を忘れてしまっていた場合、二歩は非常に起こりやすいわけです。
最も反則負けするのが恥ずかしい棋戦の1つと言われているのが、NHK杯テレビ将棋トーナメントです。
理由は、地上波テレビ放送されるからです。
しかし、そのNHK杯においても二歩をやってしまった棋士の方がいらっしゃいます。
ここに紹介したいと思います。段位は当時のものです。
▲豊川孝弘六段VS△田村康介五段(2004年6月20日)
NHK杯1回戦での出来事です。
後手の田村五段はゴキゲン中飛車から3筋へ振って石田流の展開。激しく駒をさばき合って108手目、△3七同桂成と桂馬で桂馬を取った局面が(図A)です。
(図A)

先手玉は固く、金2枚と銀桂の交換になっているのでその点でも先手十分なのですが、2三の歩に効き目がなく、時間に追われて自陣に打った87手目▲3八角も疑問手で、一気に標的とされてしまい、角が殺されて後手劣勢です。
ここで現状を段階すべく豊川六段の放った一手が…
▲2九歩(図B)
解説の塚田九段「あ〜打っちゃったよ打っちゃった」
聞き手の千葉涼子女流三段「ああーっ!!!」
(図B)
終局を告げる読み上げの方の声も上ずり、噛んでました。
あまりにも2三歩が働けていないので、存在を一瞬忘れてしまったのだと思います。
「二歩ですね…」と言いにくそうに指摘する田村五段に対し、豊川六段は天を仰ぎながら「申し訳ない…ダメだね、私ね」と動揺を隠せない様子でした。
▲先崎学八段VS△松尾歩五段(2005年4月24日)
こちらもNHK杯1回戦です。
先手▲3八飛が指された(図C)は先手必勝形です。
(図C)
この手は▲3三飛成からの詰めろになっていますから、後手は△3四銀と引くぐらいしかありませんが、先手は金銀を持っていますので、▲3三銀成からほぼ受けなしです。
早投げの人ならここで投了していたかもしれませんが、終局の瞬間は意外な形でやってきました。
△3六歩(図D)
聞き手の千葉女流三段「まさかーー」
(図D) 
このときも聞き手は千葉さんでした。
しかし、解説の渡辺竜王も千葉さんも、両対局者も、そんなに驚いたような焦ったような雰囲気にはなりませんでした。既に後手必敗だったからでしょうね。
それにしても、底歩があったからこそ▲3八飛を指したわけで…
このように、自陣1段目あるいは2段目の歩の存在を忘れて二歩をやってしまうケースが、やはり多いようです。
将棋の反則